この記事の内容
新規事業に取り組んでいると、相談できる相手が社内にも身近にもいない、という状態になりやすいです。そこで「新規事業 コミュニティ」と検索すると、交流会、講座、オンラインサロン、担当者の集まりなど、性質の違う場がまとめて出てきます。どの場を選ぶかと同じくらい、入ったあとにどう使うかで、得られるものが変わります。この記事では、新規事業に取り組む人が入るコミュニティを5つの種類に分け、それぞれで得られるもの、入る前に確かめること、入ったあとに成果につなげる使い方の順に整理します。想定読者は、社内で新規事業を担当している人と、個人で事業を立ち上げようとしている人です。他のコミュニティの名前・料金・会員数は扱いません(外から正確に確かめられないためです)。
この記事について
書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。
一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。
新規事業のコミュニティは「何を持ち帰るか」で分ける
新規事業のコミュニティを探すとき、最初に比べたくなるのは規模や評判です。ただ、新規事業に取り組んでいる人にとって効くかどうかは、その場から何を持ち帰れるかで決まります。
持ち帰れるものは、大きく分けると4つです。
- 同じ立場の人の進め方(社内の通し方、検証の回し方、止まったときの抜け方)
- 自分の事業に対する具体的な指摘や質問
- 体系立った知識(用語、手法、工程の全体像)
- 進み続けるためのリズム(報告する日、発表する日が決まっていること)
このうち、新規事業で見落とされやすいのが最後のリズムです。新規事業は、決める人も締め切りも自分しかいない時間が長く続きます。知識が足りなくて止まるより、次に何をいつまでにやるかが決まっていなくて止まることのほうが多いです。コミュニティを選ぶときは、知識や人脈に加えて、このリズムを外から作れるかどうかも見ておくと、選んだあとのずれが減ります。
新規事業に取り組む人が入るコミュニティ5つの種類
実際のコミュニティは複数の要素が混ざっていますが、中心がどこにあるかで分けると、次の5つになります。
①社内新規事業の担当者どうしの、横のつながり型
企業の中で新規事業を担当している人が、会社をまたいで集まる場です。勉強会や事例共有、担当者どうしの情報交換が中心になります。
得られるのは、社内で通すための進め方です。稟議や決裁の順番、既存事業との調整、撤退基準の置き方、評価のされ方など、社外の起業家の集まりでは話題になりにくいことを、同じ立場の人と話せます。一方で、所属企業の情報を持ち込めない場面が多いため、話は進め方の抽象度に留まりやすくなります。自分の案件の中身まで踏み込んだ助言がほしい場合は、別の場と組み合わせる必要があります。
②起業家・個人の立ち上げ実践型
個人や小さな会社で事業を立ち上げている人が、進み具合を持ち寄る場です。定期的な報告会、個別の相談、作ったものを見せ合う場が中心になります。
得られるのは、自分の事業そのものへの指摘と、進むリズムです。顧客に何を聞いたか、何を作ったか、何が売れなかったかを出すと、それに対して具体的な質問が返ってきます。反面、何も持ち込まない状態で入ると、他の人の報告を聞くだけの参加になりやすいタイプでもあります。
③学習・講座型
新規事業の進め方を、講座や教材で体系的に学ぶ場です。市場の見方、顧客インタビュー、仮説検証、事業計画といった工程を順番に学べます。
得られるのは、工程の全体像と共通の言葉です。初めて新規事業を担当することになった人や、自己流で進めてきて抜けを埋めたい人に合います。ただ、学んだことを自分の事業で試す場が別に要ります。講座の受講と並行して、実際に1人に話を聞く、1つ作ってみる、といった行動を自分で組み込まないと、知識だけが増えた状態で終わりやすくなります。
④イベント型(勉強会・ハッカソン・交流会)
単発の勉強会、ピッチイベント、ハッカソン、交流会など、1回ごとに完結する場です。継続して所属しなくても参加できるのが特徴です。
得られるのは、短時間で一通りを試す経験と、新しい視点です。とくにハッカソンのように期限つきで作る場は、考えるだけで止まっていた人が一度形にするきっかけになります。一方、単発のため、そこで決めたことを続ける仕組みはありません。イベントで作ったものや得た気づきを、翌週以降の自分の予定に落とし込むところまでが、参加者側の仕事になります。
⑤オンラインサロン型
主宰者の発信や考え方を中心に、会員がオンラインで集まる場です。限定の投稿や配信、会員どうしのチャットなどが中心になります。
得られるのは、主宰者の視点と、関心の近い人との接点です。主宰者の経験や考え方が自分の事業の方向と合っているなら、判断の基準を借りられます。反面、場の中身が主宰者に寄るため、自分の事業に合うかどうかは主宰者の実績と自分の目的が重なるかで決まります。入る前に、主宰者がどんな事業に関わってきたかを確認しておくと判断しやすくなります。
いまの段階から選ぶ
5つの種類のどれが良いかは、いまどの段階にいるかで変わります。目安として、段階ごとに合いやすい場を挙げます。
- アイデアがまだない、何から始めるか分からない:③学習・講座型か、④イベント型。まず工程の全体像を知るか、1日で一通りを体験する
- アイデアはあるが、人に聞けていない・作れていない:②立ち上げ実践型か、④のうち作ることが中心のイベント。期限と報告の場で、最初の1歩を外から決める
- 検証を回しているが、判断に迷っている:②立ち上げ実践型。自分の数字や結果に対して、具体的な質問をもらえる場
- 社内で新規事業を担当していて、社内の通し方で止まっている:①横のつながり型。同じ構造の悩みを持つ人の進め方を聞く
- 特定の主宰者の考え方を判断の軸にしたい:⑤オンラインサロン型
迷ったときは、直近1ヶ月で自分が止まっている理由を1つ書き出すと、どの場が要るかが決まります。知らないことがあって止まっているなら学ぶ場、相談相手がいなくて止まっているなら人に会う場、やると決めたことが進んでいないなら報告の場です。
社内の担当者と個人の立ち上げは、別々の場に分かれていることが多いですが、立ち上げの工程そのものは共通しています。顧客に聞く、小さく作る、売れるかを確かめる。社内の担当者が個人の立ち上げ実践型の場に出ると、決裁を待たずに進む人の速さが参考になり、個人が社内担当者の話を聞くと、提携先の中で何が起きているかが見えることがあります。
入る前に確かめる5つのこと
種類が決まったら、個別の場を見ていきます。新規事業の場合、とくに確かめておきたいのは次の5つです。
- ①持ち込める話の範囲:自分の事業や案件の話をどこまで出せるか。社内の担当者なら、勤務先の秘密保持の範囲と、場の参加者の範囲(誰が聞いているか)の両方
- ②報告や発表の場があるか:進み具合を定期的に出す機会が用意されているか。頻度はどのくらいか
- ③参加者の段階:アイデア段階の人が多いのか、すでに売上がある人が多いのか。活動の記録やレポートが公開されていれば、外から確かめられる
- ④参加に要る時間の単位:1回あたり何分・何時間か、月に何回か。自分が出せる時間に収まるか
- ⑤やめやすさ:最低契約期間、入会金、解約金、解約の手順が書かれているか
①は、社内で新規事業を担当している人ほど先に確認してください。社外の場で話してよい範囲は、場の規則ではなく勤務先の規程で決まります。未公開の事業内容、顧客名、数字は、場の参加者がどれだけ限られていても持ち出さないのが基本です。迷う場合は、勤務先の規程を確認したうえで、社内の担当部署や弁護士などの専門家に相談してください。社外のコミュニティに参加すること自体が副業や兼業の扱いになるかどうかも、規程の書き方によって変わります。
②は、次の節で書く使い方に直結します。報告の場が用意されていない場合でも、自分で投稿する、個別に相談の時間を取るなど、出す機会を作れるかを見ておくと、入ったあとの動き方が決まります。
入ったあと、成果につなげる使い方
同じ場に入っても、成果につながる人とつながらない人がいます。違いが出るのは、場の中身より使い方です。新規事業に取り組む人が効かせやすい使い方を5つ挙げます。
1つ決めて持ち込む
参加する前に、その回で聞きたいことを1つだけ決めておきます。「価格をいくらにするか迷っている」「インタビューの相手が見つからない」「社内でどの順番で説明するか」。1つに絞ると、返ってくる答えも具体的になります。質問が1つ決まっている人には、その場にいる全員の経験が使える状態になります。逆に、何を聞くか決めずに参加すると、他の人の話を聞いて終わりやすくなります。
毎回、同じ形で報告する
報告の場があるなら、毎回同じ形で出します。形は簡単なもので十分です。
- 前回やると言ったこと
- 実際にやったこと(やれなかったことも含む)
- 分かったこと(数字があれば数字で)
- 次回までにやること
同じ形で続けると、自分の進み具合が並べて見えるようになります。受け取る側も前回との差分が分かるので、質問が具体的になります。進んでいない回も、進んでいないと書いて出すことが大事です。止まっている理由を人に説明すると、それだけで次の1歩が見えることがあります。
次にやることを、日付つきで宣言する
報告の最後に「次回までに◯人に話を聞く」「◯日までに申し込みページを作る」と、日付つきで書きます。新規事業は締め切りを自分で作らないと延びていく仕事です。宣言した相手がいる締め切りは、自分の中だけの締め切りより守られやすくなります。コミュニティのリズムを、自分の締め切りとして使う方法です。
うまくいかなかったことを出す
断られた、反応がなかった、作ったが使われなかった。こうした結果は出しにくいものですが、新規事業のコミュニティで一番価値が出やすいのは、この種類の報告です。同じ失敗を経験した人から、別の聞き方や別の相手を提案してもらえることがあります。うまくいった話だけを出していると、場からもらえる指摘は減っていきます。
人の報告に、1つ質問を返す
自分の報告だけでなく、他の人の報告に質問を1つ返します。人の事業を見て質問を考えることは、自分の事業を外から見る練習になります。また、質問を返している人の報告には、質問が返ってきやすくなります。受け取るだけの参加から、やり取りのある参加に変わると、場から得られる情報の量が変わります。
続け方と、3ヶ月での見直し方
コミュニティは、入ったときの熱量が1〜2ヶ月で落ちやすいものです。続けるために、最初に決めておくことが3つあります。
- 参加する曜日と時間を固定する(報告会や定例の日を、先に予定に入れておく)
- 入って最初の1週間で、1回は何かを出す(自己紹介、質問、いまの状況の報告のどれか)
- 3ヶ月後に何が進んでいたら入ってよかったと言えるかを、1文で書いておく
3つ目は、見直しのための基準です。3ヶ月経ったら、書いておいた1文と実際を比べます。たとえば「10人に話を聞いて、買うと言う人が何人いるか分かっている」と書いたなら、それが済んでいるかどうかで判断できます。
進んでいなかったときは、原因を2つに分けて考えます。場の使い方の問題(持ち込んでいない、報告していない)なのか、場の種類と自分の段階が合っていないのか。使い方を変えても進まないなら、場が悪いのではなく、いまの段階に合う別の種類の場があるということです。学ぶ段階を過ぎたなら実践型へ、社内の通し方で止まっているなら横のつながり型へ、というように移るのは自然な流れです。やめやすい条件の場を選んでおくと、この見直しがしやすくなります。
立ち上げを続ける場の一例:ハコブネの中身

判断材料として、ハコブネの中身を事実だけで挙げます。上の分類でいうと、②立ち上げ実践型を中心に、④イベント型の要素を組み合わせた場です。同じように立ち上げている人と、定期的に顔を合わせる場という位置づけで、人の紹介や案件の斡旋、起業仲間のマッチングを行うサービスではありません。
- 運営:株式会社Walkers(AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社/2021年8月設立。累計開発実績300件、200社以上の支援)。運営パートナーは株式会社AI Docks
- 開始時期:2026年6月22日ローンチ
- 費用:月額4,980円(税込)、入会金・解約金は0円
- 提供の中身:Discordでのやり取り、10分の個別メンタリング、定期報告会、イベント
- ランチ会:月1〜2回、1回60〜90分
- 1DAY新規事業立ち上げイベント:会員は参加費無料、一般3,000円。アイデアがなくても、開発が初めてでも参加できる
- 新規事業立ち上げゼミ:3ヶ月・全6回の個別伴走、最大2名
実際の活動は、開催レポートで確かめられます。2026年9月4日の池袋のランチ会は7名で、うち2名はメンバー以外(事業開発が本職の人と、社内新規事業の担当者)でした。個人で立ち上げている人と、社内で新規事業を担当している人が同じ席で話した回です。2026年8月23日のハッカソン(東京・目白台+オンライン)では、開発が初めての人や事業を持っていない人も含め、参加者全員が4時間弱でプロダクトを完成させて発表しました。できたのは5本(参加者3本・運営2本)で、受賞したのは開発未経験の参加者です。アンケートに答えた3名の満足度は全員10点満点でした。※少人数の回で、回答数も3名のため、参加者全体の評価ではありません。
この記事の使い方に当てはめるなら、定期報告会は「毎回、同じ形で報告する」場に、10分の個別メンタリングは「1つ決めて持ち込む」場に使えます。10分と短いため、聞くことを1つに絞って臨む形が合います。これは「ここを選ぶべき」という話ではなく、5つの確認項目に実際の情報を当てはめるとこうなる、という例示です。体系的に学ぶことが目的なら③学習・講座型、社内の通し方を同じ立場の人と話したいなら①横のつながり型のほうが合うこともあります。いきなり入会せずに話を聞きたい場合は、オンラインの無料相談会もあります。
コミュニティを選ぶときの観点は、AIコミュニティの選び方でも別の角度から整理しています。また、立ち上げを一人で抱え込んで止まっている場合は、新規事業の立ち上げがきつい理由と、抱え込まない方法もあわせて読んでみてください。
よくある質問5選
質問1社内で新規事業を担当していますが、社外のコミュニティに入ってもよいですか
参加自体が問題にならない会社もありますが、扱いは勤務先の規程によって変わります。とくに、社外で話してよい情報の範囲は秘密保持の規程で決まります。未公開の事業内容や顧客名、数字は持ち出さないことを前提に、迷う点は勤務先の規程を確認し、社内の担当部署や弁護士などの専門家に相談してください。
質問2アイデアがまだなくても、新規事業のコミュニティに入る意味はありますか
あります。ただ、入る場の種類を選ぶ必要があります。アイデアがない段階では、工程の全体像を学べる講座型や、1日で一通りを体験できるイベントから入ると、何を考えればよいかが見えやすくなります。報告が中心の実践型の場は、持ち込むものができてからのほうが使いやすくなります。
質問3複数のコミュニティに同時に入ってもよいですか
目的が違うなら成立します。たとえば、社内の通し方を話す場と、自分で手を動かす場を分けるといった組み合わせです。ただ、出せる時間が分散すると、どちらも見るだけの参加になりがちです。まず1つで報告を続けられるかを確かめてから増やすほうが判断しやすくなります。
質問4報告することがない週は、どうすればよいですか
進まなかったこと自体を報告してください。前回やると言ったこと、実際にやれたこと、やれなかった理由、次回までにやることを書くだけで十分です。止まっている理由を人に説明すると、次の一歩が小さく見えてくることがあります。報告を休むと、そのまま参加しなくなりやすいので、短くても出すほうが続きます。
質問5コミュニティで事業の仲間や協力者は見つかりますか
見つかることはありますが、それを目的に入ると期待とずれやすくなります。多くの場では、同じ場で報告し合い、互いの進め方を知ったうえで、一緒に何かをする話が出てくる順番です。協力者を探すなら、まず自分が何を進めているかを継続して出しておくことが先になります。ハコブネも、人の紹介やマッチングを約束する場ではありません。
最終更新:2026年9月25日
