COLUMN

AI開発

バイブコーディングの始め方最初の題材・回し方・つまずく場所・公開前の確認

2026年10月15日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年10月15日/最終更新 2026年10月15日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約10分

バイブコーディングの始め方

バイブコーディングという言葉を聞いて、自分にもできそうだと思った。でも、何から作ればいいのか、どのツールを開けばいいのか、作ったものを人に見せていいのかが分からない。この記事は、プログラミングの経験がないまま始めようとしている方に向けて書きました。始め方で一番大事なのはツール選びよりも題材選びです。最初の1本は、自分が毎週くり返している小さな面倒を消すものにしてください。この記事では、題材の選び方、「伝える→動かす→直す」の回し方、初心者が止まりやすい場所、人に見せる時期、公開前に確かめること、ノーコードとの選び方を順に整理します。ハコブネを運営する株式会社Walkers(AI駆動開発・ノーコード開発で累計開発実績300件)と、ハコブネのハッカソンの実例を交えています。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

バイブコーディングとは何か

バイブコーディングは、AIに言葉で指示を出しながら、コードの生成と修正を進めていく作り方です。名付け親は、AI研究者のアンドレイ・カルパシー氏です。2025年2月2日のX投稿で、コードを細かく読まずにAIに話しかけ、動かしてみて、エラーが出たらそのまま貼り付けて直してもらう作り方を、この名前で紹介しました。

使う道具は大きく二つに分かれます。ブラウザ上で画面まで一気に作ってくれるタイプ(v0やLovableなど)と、手元のパソコンのファイルを読み書きしながら作るタイプ(Claude CodeやCursorなど)です。初心者は、画面が先に見えるブラウザ型のほうが手応えを得やすいでしょう。ただし、どちらも機能や料金がよく変わるので、使い始める前に公式ページで条件を確かめてください。

始める前に一つだけ覚えておいてほしいのは、コードを書かなくてよくなっても、何を作るかを言葉にする仕事は残るということです。AIは、言われたことを言われたとおりに作るのが得意です。言われていないことは、もっともらしく埋めます。だから、バイブコーディングの上手い下手は、タイピングの速さよりも、作りたいものを短く正確に伝えられるかで決まります。

最初に作るものは「毎週くり返す小さな面倒」から選ぶ

初心者が最初の題材でつまずく理由は、たいてい大きすぎることです。「マッチングアプリを作りたい」「会員サイトを作りたい」から始めると、ログイン、決済、通知と必要な部品が一気に増え、どこで壊れているのか分からなくなります。

おすすめは、自分が毎週手でやっている作業を1つ選ぶことです。題材を選ぶときは、次の4つに当てはまるかを見てください。

  • くり返し:毎週か毎日、同じ手順で発生している
  • 自分が使う:最初の利用者が自分なので、良し悪しをすぐ判断できる
  • 壊れても困らない:間違えても、お客さんやお金に影響が出ない
  • 完成が一文で言える:「CSVを入れたら月別の合計表が出る」のように、何が出てきたら終わりかが言える

たとえば、問い合わせメールの内容を表にまとめる、毎週の売上を店舗ごとに集計する、イベントの参加者リストから名札用の一覧を作る、といった作業です。

反対に、最初の1本で避けたいのは、お金の受け渡しや他人の個人情報を扱うもの、ほかの人が毎日使う前提のものです。作ること自体はできても、間違えたときの影響が自分の外に出てしまいます。こうした題材は、何本か作って「どこで壊れやすいか」の感覚がついてから取り組んでも遅くありません。最初の1本で身につけたいのは、完成させる経験と、壊れたものを直してもらう経験の二つです。

ハコブネが2026年8月に開いたAI新規事業立ち上げハッカソンでも、参加者が作ったものの一つは、社員の資格の更新期限を抜け漏れなく管理する「社員の資格期限管理アプリ」でした。作った方は、参加時点では自分の事業を持っていませんでした。身近な業務で起きている小さな困りごとは、そのまま事業の種にもなります。

基本の回し方:伝える→動かす→直す

題材が決まったら、「伝える→動かす→直す」の3つを小さく何度も回します。

1. 伝える。最初の指示には、誰が使うか、何を入力するか、何が出てきたら完成かの3つを入れます。「私が毎週月曜に使います。売上のCSVを読み込んで、店舗ごとの合計を表で出してください。CSVの例はこれです」くらいの具体さで十分です。一度に頼むのは1つの機能だけにします。

2. 動かす。AIが作ったら、すぐに自分で触ります。ここで大事なのは、本物に近いデータで試すことです。きれいなサンプルでは動いても、実際のファイルには空欄や表記ゆれがあり、そこで初めて壊れます。

3. 直す。うまく動かないときは、「動かない」とだけ伝えず、何をしたら、何が起きて、本当はどうなってほしかったかを書きます。エラーが表示されたら、その文をそのまま貼り付けます。直してもらったら、前に動いていた部分がまだ動くかも確かめます。

1周は短いほど良く、数分で回るのが理想です。1回で全部作ろうとせず、1周ごとに「動く状態」を保ったまま少しずつ足していくのがコツです。うまく動いた時点で、ファイルを保存しておくか、ツールの履歴機能で戻れる地点を作っておくと、後で壊れたときにそこへ戻れます。

初心者がつまずきやすい4つの場所

指示が大きすぎて、どこが壊れたか分からない

「予約から決済まで全部作って」と頼むと、一度に何十個ものファイルができます。どこかが壊れても、どこを直せばいいか自分では分かりません。機能を1つずつ頼み、1つできるごとに触って確かめるのが一番の予防です。

直すたびに、別の場所が壊れる

Walkersのメディアでは、あるエンジニアがAIだけで1か月開発を続けた実験で、最初の1週間は速く進んだのに、2週目からは機能を足すたびに既存の機能が壊れるようになった例が紹介されています。同じ処理が少しずつ違う書き方で何か所にも作られていたのが原因でした。機能を足す前に「同じことをしている部分はないか整理して」と頼む回を挟むと、この状態を防ぎやすくなります。

会話が長くなり、最初の条件が抜ける

同じ会話で何十回もやりとりすると、AIは最初に伝えた前提を落としがちです。決めたことは短いメモにまとめておき、会話が長くなったら新しい会話を始めてメモを最初に渡します。

進んでいる気がするのに、実は止まっている

METRが2025年に行った実験では、経験のある開発者16人がAIを使うと、作業時間が平均19%長くかかりました。一方、本人たちは20%速くなったと感じていました。METR自身が、この結果は現在のAIの影響をもう反映していないと注記しているので、数字はそのまま受け取らないでください。ただ、速くなった感覚と実際の進み具合はずれることがあるという点は、今も覚えておく価値があります。初心者は、1日の終わりに「今日できるようになったこと」を一行書くと、空回りに気づけます。

人に見せるのは「1つの困りごとが解けた」時点

自分用の道具ができたら、次は人に見せる段階です。見せる時期の目安は、1つの困りごとが最初から最後まで解けた時点です。デザインが粗くても、機能が1つしかなくても構いません。

見せる相手は、同じ困りごとを抱えていそうな人を3人選びます。使い方を説明せずに渡し、どこで手が止まったかを横で見てください。止まった場所が、次に直す場所です。感想を聞くよりも、実際に使ったか、もう一度使いたいと言ったかを見ます。

ハッカソンでは、開発が初めての方や事業を持っていない方を含む参加者全員が、4時間弱で自分のプロダクトを形にして、その日のうちに発表しました。開発がまったく初めての参加者が作った企業向けのPoC設計ツールは受賞しています。参加した方の一人は、事前にはAIについて「効率化くらいしかイメージがなかった」と話していました。人前で見せる締め切りがあると、作り込みすぎる前に手を止められます。

反対に、見せずに作り続けるのは危険です。Walkersのメディアでは、うまく進んだ最初の成功体験が過信につながり、確認や専門家への相談を後回しにしてしまうことを、失敗の根本原因の一つに挙げています。

公開する前に確かめること

自分しか使わない道具と、ネット上に公開するものとでは、求められる注意がまったく違います。スタンフォード大学などの研究チームの実験では、AIアシスタントを使った人は使わなかった人よりも安全性の低いコードを書き、しかも自分のコードは安全だと考える傾向が強いという結果が出ています。動くことと安全なことは別です。公開前に、少なくとも次の5つを確かめてください。

  • 鍵とパスワード:外部サービスのAPIキーやパスワードが、画面やコードの中に直接書かれていないか
  • ログイン:本人以外が他人のデータを見られないか。別のアカウントで試して確かめる
  • データの保存先:入力された個人情報がどこに保存され、誰が見られる設定になっているか
  • 入力のチェック:おかしな値や長すぎる文字を入れたときに、エラーで止まるか
  • 直したときの副作用:エラーを直してもらった後に、ログインや入力チェックが消えていないか

最後の項目は見落とされがちです。Walkersのメディアは、AIがエラーを直す過程でログインや入力チェックなどの安全のための仕組みを取り除いてしまう事例を紹介しています。AIに「公開前に、セキュリティ上の問題がないか点検して」と頼むのも有効ですが、個人情報やお金を扱うものは、公開前に詳しい人に一度見てもらってください。

ノーコードとバイブコーディング、どちらで始めるか

Walkersのメディアでは、ノーコードとバイブコーディングの違いを、作ったものの持ち主と安全の責任で整理しています。ノーコードはサービスの用意した部品を画面上で組み立てる方式で、品質と安全の土台はサービス側が保ってくれます。その代わり、できることはサービスの範囲に限られます。バイブコーディングは本物のコードができるので自由度が高い一方、品質と安全は作った人の責任になります。

初心者の判断の目安は、作るものが「決まった型に収まるか」です。予約受付、顧客リスト、社内の申請フォームのように型が決まっているものはノーコードのほうが早く、安全に始められます。自分の業務に合わせた細かい処理や、ほかにない画面が要るなら、バイブコーディングが向いています。両方を組み合わせる人もいます。

ノーコードで続いている例として、Walkersが支援した一番飯店があります。紙の伝票とトランシーバーでやりとりしていたオーダーをノーコードのシステムに置き換え、依頼者の体感でオーダーの労力が50%ほど減り、導入から約2年使われています。道具より先に、解く困りごとが決まっていた例です。

ハコブネでは、1日でプロダクトを形にする1DAYイベント(会員は参加費無料、一般3,000円。日程は1DAYイベントのページで案内しています)、作っている人どうしで話せるランチ会、いま考えていることを話せるオンラインの無料相談会を用意しています。

よくある質問5選

質問1プログラミングを少しも知らなくても始められますか?

始められます。最初の題材を自分用の小さな道具にすれば、壊れても困りません。作りながら「いま何を作ったのか説明して」とAIに聞く習慣をつけると、必要な知識が少しずつ身につきます。

質問2最初はどのツールを使えばいいですか?

画面が先に見えるブラウザ型のツールから始めると、手応えを得やすいです。手元のファイルを扱う作業や、業務の自動化に進みたくなったら、Claude CodeやCursorのような手元で動くツールを試してください。料金と条件は変わるので、公式ページで確かめてから選びます。

質問31つ作るのにどのくらい時間がかかりますか?

自分用の小さな道具なら、数時間から数日が目安です。ハコブネのハッカソンでは、開発が初めての方を含む参加者全員が4時間弱でプロダクトを形にしました。ただ、人に使ってもらえる状態に整えるには、そこからさらに時間がかかります。

質問4作ったものを仕事で使ってもいいですか?

自分の業務で使う分には、まず試してみてください。お客さんの情報を入れる、社外に公開する、といった段階に進むときは、この記事の公開前の確認を済ませ、会社で使う場合は社内のルールも確かめてください。

質問5途中でエラーが直らなくなったらどうすればいいですか?

最後にうまく動いていた地点に戻ってやり直すのが一番早いです。戻れないときは、新しい会話を始めて、作りたいものと今の状態を短くまとめて渡すと、別の直し方を出してくれることがあります。それでも止まるなら、題材を小さく分け直してください。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年10月15日

作る前の「何を確かめるか」を、人と決める

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