この記事の内容
Claude Codeが気になっているけれど、コードを書いたことがない。自分の事業のための予約フォームや顧客リスト、毎週の集計を自動にする仕組みくらいは作れそうな気がする。でも、どこまでAIに任せてよくて、どこで自分が手を止めるべきなのかが分からない。この記事は、そういう方に向けて書きました。結論から言うと、コードを書く作業はClaude Codeに任せられますが、何を作るか、何をもって正しいとするかは自分で決める必要があります。この記事では、任せていい作業と自分に残る判断の線引き、最初の1週間の進め方、非エンジニアが踏みやすいセキュリティの落とし穴、動く試作を人に使われるものにする手順を、ハコブネを運営する株式会社Walkers(累計開発実績300件)の実例を交えて整理します。
この記事について
書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。
一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。
Claude Codeは非エンジニアでも使えるのか
Claude Codeは、Anthropicが提供するAIのコーディングツールです。公式ドキュメントでは、手元のファイルを読み、ファイルを編集し、コマンドを実行するツールと説明されています。動かす場所はターミナルだけでなく、VS Codeなどのエディタ、デスクトップアプリ、ブラウザにも広がりました。黒い画面に抵抗がある人でも、デスクトップアプリから始められます。なお、多くの使い方で有料プランかAPIの契約が必要です。料金とプランの中身は変わるので、契約前に公式の料金ページで確かめてください。
チャット型のAIとの違いは、答えを返すだけで終わらず、ファイルを作って実際に動かすところまで進める点です。「この表を読み込んで、月ごとの合計をグラフにして」と頼むと、Claude Codeは必要なファイルを作り、動かし、エラーが出れば自分で読み直して修正します。
では非エンジニアでも使えるのか。Walkersのメディアでは、Claude Codeにできないこととして「完全自動・無人での開発」と「要件定義や設計方針の決定」を挙げています。裏返すと、手を動かす部分はかなり任せられるということです。作業の手は借りられても、判断は借りられません。非エンジニアが使えるかどうかは、プログラミングの知識よりも、この判断を自分で持てるかで決まります。
Claude Codeに任せていい作業
非エンジニアが最初から任せてよいのは、次のような作業です。
- 作る:画面、フォーム、集計のスクリプトなど、言葉で説明できるものの最初の形
- 直す:エラーが出たときの原因の特定と修正。エラー文を自分で読めなくても、そのまま渡せば読んでくれます
- 説明させる:いま何ができていて、どのファイルが何をしているのかを、専門用語抜きで説明してもらう
- 繰り返し作業:CSVの整形、ファイル名の一括変更、毎週同じ手順で作る集計など
特に3つめの「説明させる」は、非エンジニアほど使ったほうがよい使い方です。作ってもらったものの中身を自分の言葉で説明できない状態が続くと、どこを直せばいいか判断できなくなります。1つ作るたびに「いま作ったものを、中学生にも分かるように3行で説明して」と頼む習慣をつけると、自分の理解が作ったものに追いつきます。
一方で、任せると危ない作業もあります。お金の受け渡し、個人情報の保存、外部への自動送信がからむ部分です。Claude Codeはこうした部分も作れますが、間違ったときの被害が大きいので、最初のうちは扱わない範囲に置いておきます。Walkersのメディアも、Claude Codeが書いたコードの品質は保証されず、レビューとテストが前提だとしています。
もう一つ知っておきたいのは、長い会話を続けると精度が落ちることです。同じ会話で何十回もやりとりすると、最初に伝えた条件が抜けたり、意図とずれた修正が増えたりします。作業のまとまりごとに会話を区切り、決めたことはファイルに書いて残しておくほうが安定します。
自分で決めること:何を作るか、何が正しいか
Claude Codeが代わりに決められないのは、大きく分けて二つです。一つは何を作るか、もう一つは何をもって正しいとするかです。開発の現場ではこれを要件と呼びます。
「何を作るか」は、誰のどんな困りごとを解くのかという問いです。Walkersのメディアは、Claude Codeで起業する人の失敗として、作りたいものから発想して、困っている人がいるかを確かめないまま公開してしまう型を挙げています。AIで作るのが速くなった分、確かめる前に作り終えてしまうのです。作る前に「誰が、どんなときに、何に困っているか」を一文にしてから頼んでください。
「何が正しいか」は、完成の基準です。たとえば予約フォームなら、同じ時間に二人入ったらどうするか、キャンセルは何日前までか、確認メールは誰に届くか。こうした決めごとは、Claude Codeに聞いても候補は出してくれますが、どれを選ぶかは事業の判断です。決めていないことは、AIがもっともらしく埋めてしまいます。動いているのに使えないものができる原因の多くは、ここにあります。
作る範囲を決めるときは、思いついた機能を「必ず要る」「あると便利」「あとで足す」「要らない」の4つに分け、最初は「必ず要る」だけを頼む方法がWalkersのメディアでも紹介されています。非エンジニアがClaude Codeを使うと、頼めば何でも足してくれるので、機能がふくらみがちです。「必ず要る」に入れてよいのは、それがないと困りごとが解けないものだけです。
おすすめは、決めたことを1枚のメモにしておくことです。Claude Codeには、作業フォルダに置いた「CLAUDE.md」という名前のファイルを毎回の作業の最初に読む仕組みがあります。誰のために作るのか、やらないこと、完成の条件を数行ずつ書いておけば、会話を区切っても前提がぶれません。
最初の1週間の進め方
最初の1週間は、成果物よりも「任せ方」と「止め方」を身につける期間と考えてください。目安の進め方を書いておきます。
1. 1〜2日目は、作業用のフォルダを1つ作り、その中だけで動かす。大事な書類や顧客データが入ったフォルダでは始めません。Claude Codeには、ファイルの編集やコマンドの実行の前にあなたの確認を求める設定があります。最初の週は、確認を求められるたびに「何をしようとしているのか」を読んでから許可してください。読んでも分からないときは、許可する前に「いまのコマンドは何をするものか説明して」と聞けば答えてくれます。
2. 3〜4日目は、自分しか使わない小さな道具を1つ作る。毎週手でやっている集計、散らばったメモの整理、請求書の一覧づくりなど、間違っても困らない題材を選びます。頼むときは「何を入力して、何が出てきたら完成か」を必ず添えます。
3. 5日目は、わざと壊して直してもらう。入力の形式を変えたり、空のファイルを渡したりして、どう壊れるかを見ます。壊れ方を知っておくと、人に使ってもらったときに慌てずに済みます。
4. 6〜7日目は、作ったものを自分の言葉で説明できるかを確かめる。どのファイルが何をしているか、どこを変えると何が変わるかを、Claude Codeに説明させながらメモにまとめます。この時点で説明できない部分は、次の週に機能を足す前に分かるまで聞いてください。
1週間で大きなものは作れません。それで構いません。自分で止めて、聞いて、許可するという手順が身につけば、2週目からは題材を事業に近づけていけます。
非エンジニアが踏みやすいセキュリティの落とし穴
Claude Codeは手元のファイルを読み書きできるぶん、チャット型のAIより気をつける点が増えます。Anthropicの公式ドキュメントは、提案されたコードやコマンドを許可する前に安全か確かめるのは利用者の責任だと明記しています。非エンジニアが特に踏みやすいのは次の4つです。
- 鍵の置き場所:外部サービスのAPIキーやパスワードを、コードの中や公開するファイルに直接書かない。どこに置くべきかはClaude Codeに聞き、公開前に「鍵が含まれていないか」を確かめてもらう
- 読ませる資料:AIは、読み込んだ資料の中に紛れた指示と、あなたの指示を見分けられないことがある。出どころの分からないPDFやWebページを、顧客データのあるフォルダで読ませない
- 外部連携の追加:MCPという仕組みでGoogleドライブやSlackなどとつなげられるが、公式ドキュメントによればAnthropicは個々の連携先のセキュリティ監査をしていない。自分で作ったものか、信頼できる提供元のものだけを使う
- 確認なしで動かす設定:慣れてくると確認を省きたくなるが、何が許可されているかを自分で把握できているうちだけにする
2つめの点は、Walkersのメディアでも事故事例とともに紹介されています。要約を頼んだ資料や、GitHub上のコメントに隠された指示によって、情報が外に送られたり鍵が漏れたりする手口をセキュリティ研究者が実証しており、その共通の原因は「AIはデータと指示を区別できない」ことだと整理されています。
もう一つの対策は、アカウントと作業場所を分けることです。顧客情報を扱う作業と、外の資料を調べる作業を同じ場所でしない。これだけで、事故が起きたときの被害の範囲を小さくできます。
動く試作を、使われるものにする
自分のパソコンで動いたものは、まだ「動くおもちゃ」です。人に使われるものにするには、作る作業とは別の手順がいります。
最初にやるのは、使ってほしい相手を3人決めて、触ってもらうことです。説明せずに渡して、どこで止まったかを横で見ます。止まった場所が、次に直す場所です。ここで機能を足したくなりますが、先に「使い続けてもらえたか」を見ます。
ハコブネが2026年8月に開いたAI新規事業立ち上げハッカソンでは、開発が初めての方や事業を持っていない方を含む参加者全員が、4時間弱で自分のプロダクトを形にして発表しました。開発がまったく初めての参加者が作った、類似のPoCを横断して比べる企業向けの設計ツールは受賞しています。1日で形にするところまでは届きます。ただ、形にすることと、使われ続けることは別の工程です。
使われ続けた例として、Walkersが支援した中華料理店の一番飯店があります。紙の伝票とトランシーバーでやりとりしていたオーダーをノーコードのシステムに置き換え、依頼者の体感でオーダーの労力が50%ほど減り、導入から約2年使われ続けています。この事例でいちばん重視したのは、外国籍のスタッフでも簡単に操作できることでした。解く困りごとと完成の基準がはっきりしていた例です。期間を先に区切るのも有効です。Walkersの自社サービス「Prompt Lab」は、構想からベータ版の公開まで3週間でした。
ハコブネでは、1日でプロダクトを形にする1DAYイベント(会員は参加費無料、一般3,000円。日程は1DAYイベントのページで案内しています)、作っている人どうしで話せるランチ会、いま考えている事業のことを話せるオンラインの無料相談会を用意しています。
よくある質問5選
質問1プログラミングを先に勉強したほうがいいですか?
先に体系立てて勉強する必要はありません。作りながら、分からないところをその場でClaude Codeに説明させるほうが、事業に必要な範囲の理解が早く身につきます。ただし、作ったものを自分の言葉で説明できる状態は保ってください。
質問2ChatGPTなどのチャット型AIとは何が違いますか?
チャット型のAIは答えやコードを返し、それを自分で貼り付けて動かします。Claude Codeは手元のファイルを作り、コマンドを実行し、エラーを読んで直すところまで進めます。そのぶん、何を許可するかを自分で判断する場面が増えます。
質問3無料で使えますか?
多くの使い方で有料プランかAPIの契約が必要です。プランの内容と料金は変わることがあるので、公式の料金ページで最新の条件を確かめてください。
質問4顧客データを扱うツールを作っても大丈夫ですか?
最初の数週間は、顧客データを使わない題材で慣れることをおすすめします。扱う段階になったら、データの置き場所、誰が見られるか、外部に送られる経路がないかを決めてから作り、公開前に詳しい人に一度見てもらってください。
質問5作ったものを売ってもいいですか?
売ること自体はできますが、その前に、困っている人が実際に使い続けるかを確かめてください。お金を受け取る段階では、不具合や情報漏えいの責任も自分に来ます。決済や個人情報の部分は、作り方を詳しい人に相談してから進めるのが安全です。
この記事で触れた事例の出典
- Claude Code(クロード コード)とは?特徴や料金、使い方まで完全解説!(AI駆動開発 総合研究所)
- ClaudeCodeでできること/できないことを3分で解説(AI駆動開発 総合研究所)
- ClaudeCodeのセキュリティ事故事例5選(AI駆動開発 総合研究所)
- ClaudeCodeによるアプリ開発で起業する2つの手法と失敗を防ぐポイント7つ(AI駆動開発 総合研究所)
- Claude Code overview(Anthropic公式ドキュメント)
- Claude Code Security(Anthropic公式ドキュメント)
- AI新規事業立ち上げハッカソン 開催レポート(ハコブネ)
- 一番飯店様 インタビュー(株式会社Walkers)
- 株式会社Walkers
最終更新:2026年10月15日
