COLUMN

個人開発

エンジニアの副業で、個人開発を小さな事業にする何を作るか・作る前の確かめ方・週5〜10時間の回し方

2026年10月15日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年10月15日/最終更新 2026年10月15日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約11分

エンジニアの副業で、個人開発を小さな事業にする

会社でエンジニアとして働きながら、週末や夜に何かを作っている。動くものはできるのに、使う人が増えず、いつの間にか更新が止まる。副業で個人開発をしているエンジニアの多くが、一度はこの形を経験していると思います。止まる理由は技術よりも、作り始める前に「誰が、なぜお金を払うのか」を確かめていないことにあります。この記事では、副業の個人開発を趣味で終わらせず小さな事業にしたい人に向けて、受託副業との選び方、売れやすい題材の選び方、作る前の確かめ方、AIで開発時間を削って売る時間に回す方法、週5〜10時間で回す設計、会社員として確かめておくことの順に整理します。AIで作る速さが上がったいま、副業の時間の使い道は「作る」より「売れるか確かめる」に寄せたほうが結果が出ます。 ハコブネを運営する株式会社Walkers(累計開発実績300件)の実例を交えて書きました。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

個人開発と受託副業、どちらを選ぶか

エンジニアの副業は、大きく受託と個人開発に分かれます。受託は、仕事を受けた月から収入が出ます。その代わり、収入は使った時間に比例し、作ったものの権利はたいてい発注者に残ります。個人開発は、最初の数ヶ月は収入が出ないことが多い一方、作ったものが手元に残り、売れれば時間と収入が切り離されていきます。

選び方の軸は三つです。いま毎月の収入が必要かどうか。売ること(集客・営業)に時間を使う覚悟があるかどうか。そして、自分が詳しい業界や業務があるかどうかです。三つめが特に効きます。本業や前職で見てきた業務の困りごとを知っている人は、個人開発で「誰に売るか」を最初から持っています。

迷うなら、受託で月の収入の土台を少し作りながら、個人開発は検証だけ先に進める組み合わせもあります。受託の現場で何度も同じ相談を受けるなら、それ自体が個人開発の題材の候補です。受託で繰り返し頼まれることは、お金を払う人がいる困りごとの証拠になります。

会社員のまま事業を準備する全体の進め方は、会社員をやりながら起業する準備にまとめています。

売れるものを選ぶ。汎用アプリより小さな業務ツール

個人開発の題材として、エンジニアが最初に思いつくのは自分が欲しいアプリや、誰でも使える便利ツールです。ただ、誰でも使えるものは、誰に向けて売るかが決まりません。広告や発信で多くの人に知ってもらう必要があり、副業の時間ではそこが続きません。

始めやすいのは、特定の業種・業務に絞った小さな業務ツールです。払う人(会社や店の責任者)が決まっていて、困りごとが「月に何時間かかっている」「ミスで何件のやり直しが出ている」と金額に直せるからです。ハコブネのハッカソンでは、参加者が「社員の資格期限管理アプリ」を作りました。資格の期限切れという、起きると困るのに誰も見ていない業務は、こうした題材の典型です。

もうひとつ見るのは、売り方と届け方を少ない時間で回せるかです。Walkersが自社で運営しているホームページ制作サービス「HP Answer」は、ヒアリングシートだけで打ち合わせを0回にし、48時間以内に初稿を3パターン出す形にしています。打ち合わせをしない設計にしたことで、少ない人数でも回ります。副業の個人開発でも、導入のたびに打ち合わせが要るものより、申し込みから使い始めまでが画面の中で完結するものを選ぶと続きます。

題材の候補を広げたいときは、マイクロSaaSのアイデア20選で一人で作れる領域を整理しています。

作る前に確かめる。LP・顧客インタビュー・事前予約

題材が決まったら、作る前に三つの順で確かめます。

1. 顧客インタビューを5人以上にする。 想定する相手に、その業務を最近どうやって回したか、何時間かかったか、何か道具にお金を払っているかを聞きます。「こんなツールがあったら使いますか」と聞くと、ほぼ全員が「使うと思う」と答えるので判断材料になりません。過去の行動だけを聞きます。

2. LP(1枚の説明ページ)を作り、反応を見る。 何を解決するか、誰向けか、いくらくらいかを1ページに書き、インタビューした相手や同じ業界の知り合いに見せます。AIを使えば、LPは数時間で形になります。ここで「いつ使えますか」と聞かれるかどうかが一つ目の手応えです。

3. 事前予約か、先行利用の申し込みを取る。 公開前の割引や、先行して使ってもらう枠を用意して、申し込みが入るかを見ます。お金を払う、または名前と連絡先を出して申し込むという行動は、「良いと思う」という感想よりずっと強い証拠です。

ここで大事なのは、先に合格ラインを決めておくことです。ハコブネのハッカソンで運営が作った記録アプリ「BENLOG」は、7日後の継続率40%・30日後20%・1日平均3.5件という線を作る前に置いていました(いずれも検証前の目標値で、実測ではありません)。個人開発でも「インタビュー5人中3人が今の業務に不満を持っていて、LPを見た人から事前予約が2件入ったら作る」のように、先に線を引きます。作る前の確かめ方はニーズ検証とはで詳しく書いています。

AIで作る時間を削り、売る時間に回す

AIコーディングツールが変えたのは、副業の時間配分です。Walkersのメディアが比較しているアプリ開発向けのAIツールは10種類あり、コードの理解・修正やコーディングを支援するもの(Claude Code、Cursorなど)、AIアプリや業務の自動化を組むもの(Dify、n8nなど)、画面やアプリ全体を生成するもの(v0、Lovableなど)などに分かれます。料金や機能は頻繁に変わるので、使う前に各公式ページで確かめてください。

作る対象によって道具の向き不向きもあります。Walkersの解説記事は、Claude Codeでスマホのネイティブアプリを作るなら、JavaScript/TypeScriptで書けるReact Native(特にExpo)から始めるのを勧めています。一方で、iOSアプリのビルドと実機テストにはmacOSの環境が必要で、ストアへの申請情報の入力や審査への対応は人がやる作業として残るとしています。副業の個人開発では、まずWebで作り、ネイティブアプリは売れると分かってから、という順番のほうが時間を守れます。

作る速さの目安として、Walkersが自社で作ったプロンプト活用サービス「Prompt Lab」は、構想からベータ版の公開まで3週間でした。WalkersのSaaS開発の解説では、機能を「必須・あれば良い・将来・不要」の4つに分けて絞り込むことを勧めています。最初に出すのは「必須」だけです。

AIで浮いた時間を、もう一つ機能を足すことに使うと、また売る前に止まります。 浮いた時間は、インタビューの追加や、使い始めた人への声かけに回してください。同じ解説記事は、SaaSでは導入直後の定着(オンボーディング)が解約を防ぐうえで重要だとしています。個人データを扱うなら、個人情報保護法などへの対応も最初から考えておく必要があります。

週5〜10時間で回す設計

本業を続けながら無理なく確保できる時間を、ここでは週5〜10時間と置きます。この時間で事業として回すには、作る・売る・聞くの比率を先に決めます。

立ち上げ前の時期は、作るより聞くと売るに寄せます。たとえば週8時間なら、インタビューと見せる相手探しに3時間、LPと検証の準備に2時間、試作に3時間、という配分です。公開したあとは、使っている人の対応と改善に半分、新しく知ってもらう活動に半分を回します。

作る範囲は、1週間で終わる単位に切ります。週末に作り始めて翌週末に持ち越すと、平日のあいだに文脈が抜けて、戻るだけで1時間かかります。AIに渡す指示とその週の目的を毎回メモに残しておくと、次に座ったときすぐ再開できます。

公開したあとに見落としやすいのが、問い合わせへの対応です。本業の勤務中には返信できないので、問い合わせの窓口を一つにまとめ、「返信は平日の夜と週末」とあらかじめページに書いておきます。よくある質問を画面の中に置いておけば、同じ質問に何度も答える時間も減ります。副業の個人開発では、売る仕組みだけでなく、支える仕組みも少ない時間で回る形にしておく必要があります。

期限も先に決めます。「3ヶ月で事前予約が何件入らなければ題材を変える」のように、やめる基準を置いておくと、反応のないものを作り続けずに済みます。小さな事業を副業で回す設計全体は、スモールビジネスを副業で始める設計でも整理しています。

会社員として確かめておくこと。副業規定・競業・知財

会社員の個人開発で、技術より先に確かめるべきなのが会社との関係です。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、副業・兼業を原則として認める方向を示しつつ、裁判例を踏まえて、労務提供に支障がある場合、業務上の秘密が漏れる場合、競業によって会社の利益が害される場合、会社の名誉や信用を損なう場合には、会社が禁止や制限をできるとしています。エンジニアの個人開発で特に引っかかりやすいのは、二つめと三つめです。

  • 副業規定:就業規則で、副業が許可制か届出制か、申請が必要かを確かめる
  • 競業:本業の会社が売っている製品や、狙っている顧客と重ならないかを確かめる
  • 知財:雇用契約や就業規則に、業務外で作ったものの権利の扱いが書かれていないかを確かめる
  • 道具と情報:会社のPC、アカウント、コード、顧客情報、社内で知った情報を一切使わない

本業で見てきた業務の困りごとを題材にするのは自然なことですが、その会社の顧客にそのまま売る形は競業に当たりやすくなります。判断が難しいときは、作り始める前に会社の担当部署に確認し、必要なら専門家に相談してください。

いつ人に見せるか

答えは「作る前から」です。画面の絵、LP、動く試作のどの段階でも、見せた相手の反応は判断材料になります。完成してから見せると、反応が悪かったときに作った時間が丸ごと無駄になります。

見せる相手は、段階によって変えます。題材を決める段階では、困っている当事者に。試作の段階では、実際に使ってくれそうな人に3〜5人。公開の段階では、その人たちから紹介してもらえる人に広げます。最初から不特定多数に向けて公開しても、副業の発信量ではまず届きません。

一人で作っていると、見せる相手が見つからないこと自体で止まりがちです。2026年8月にハコブネが開いたAI新規事業立ち上げハッカソンでは、開発が初めての人や事業を持っていない人を含む参加者全員が、4時間弱でプロダクトを完成させてその場で発表しました。作ったその日に人に見せて反応をもらえる場は、副業の個人開発ではなかなか作れません。

ハコブネでは、1DAY新規事業立ち上げイベント(会員は参加費無料、一般3,000円。日程は1DAYイベントのページで案内しています)で1日の中で作って発表できるほか、月1〜2回のランチ会で事業を作っている人に試作を見せて話せます。いま作っているものの話をしながら入るかどうかを決めたい方は、オンラインの無料相談会も使えます。

よくある質問5選

質問1副業の個人開発は、会社にばれますか?

隠して進めることを前提にするのはおすすめしません。就業規則で副業の扱いを確かめ、必要な申請をしてから始めるほうが、あとで作ったものの権利で揉めるおそれも減ります。

質問2個人開発で収益が出るまで、どのくらいかかりますか?

題材と売り方によって大きく変わるため、一律の目安はありません。作る前にインタビューと事前予約で手応えを確かめた題材は、公開してから最初の申し込みが入るまでが短くなります。期間よりも、何件の申し込みで続けるかを先に決めてください。

質問3受託副業と個人開発を同時に進めてもいいですか?

進められます。受託で収入の土台を作りながら、個人開発は週に数時間だけ検証に使う形は現実的です。受託で繰り返し頼まれる作業があれば、それを個人開発の題材にできます。

質問4AIに任せて作ったものでも、事業として通用しますか?

使う人の困りごとが解けていれば、作り方は問われません。ただし、AIが書いたコードの安全性や個人情報の扱いは、自分で確かめる必要があります。ストアへの申請や審査対応のように、人が担う作業も残ります。

質問5一人で続けられる自信がありません。どうすればいいですか?

一人で続かない原因の多くは、反応のないまま作り続けることです。作る前から人に見せて、反応が返ってくる状態を作ると続きやすくなります。同じように作っている人と定期的に話す場を持つことも、止まらないための手段になります。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年10月15日

作る前の「何を確かめるか」を、人と決める

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