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起業と会社員の両立。時間を先に決めて、作る前に人に会う可処分時間・勤務先の確認・辞めどきの見方

2026年9月16日公開 / ハコブネ編集部

AIの津波に飲み込まれるか、ハコブネに乗るか。

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公開 2026年9月16日/最終更新 2026年9月16日 | 監修:池田 龍一(株式会社Walkers 取締役) | 読了 約7分

起業と会社員の両立。時間を先に決めて、作る前に人に会う

会社員を続けながら起業の準備を進めるとき、最初に詰まるのはアイデアではありません。時間です。「空いた時間でやる」と決めた人の時間は、たいてい空きません。両立で効くのは、可処分時間を先に決めて、そこに準備を入れていくことです。この記事では、時間の固定のしかた、始める前に勤務先との関係で確認しておくこと、平日と休日の使い分け、限られた時間なら何から手をつけるか、そして辞めるタイミングの見方を、この順番で整理します。読者として想定しているのは、会社員をしながら新規事業や自分の事業を立ち上げようとしている人です。

この記事について

書いているのは、作る側です。ハコブネを運営する株式会社Walkersは、受託と自社事業で累計300件の開発に関わり、200社以上の事業づくりを支援してきました。監修は取締役の池田龍一です。

一般論ではなく、実際にやったことの中身で説明します。この記事に出てくる数字は、すべて公開済みの自社・支援先の事例から引いています。出典は記事の最後にまとめました。

両立の成否は、可処分時間を先に決められるかで決まる

両立がうまくいかない理由は、やる気でも能力でもなく、時間の決め方であることが多いです。仕事が終わってから、家のことが済んでから、と条件をつけた時間は、条件のほうが毎回勝ちます。順番を逆にします。先に「週に何時間、どの曜日の何時から」を決めて、そのうえで、その時間に入る量の準備しかしない。これが両立の設計の中心です。

決め方は次の4つで足ります。

  • 週に出せる合計時間を数える(多めに見積もらない。実際に使えた先週の時間で数える)
  • 曜日と時間帯を固定する(毎週同じ枠にすると、判断の回数が減る)
  • 1コマの長さを決める(平日は短く、休日は長く。長さを混ぜない)
  • 落としたときの振替先を先に決めておく(振替先がないと、1回の遅れがそのまま消滅になる)

ここで大事なのは、時間を増やすことではなく、量のほうを時間に合わせることです。週に5時間しか出せないなら、5時間で終わる計画を立てます。10時間かかる計画を5時間の枠に押し込むと、毎週「終わらなかった」という記録だけが積み上がります。両立では、計画に合わせて時間を探すのではなく、時間に合わせて計画を削ります。

始める前に確認すること(労務・法務)

準備を始める前に、勤務先との関係で確認しておくことがあります。ここを飛ばすと、事業が伸びたときほど困ります。確認する対象はおおむね次の5つです。

  • 就業規則と副業・兼業の規定(許可制か、届出制か、禁止か)
  • 競業避止に関する定め(在職中と退職後で条件が違うことが多い)
  • 秘密保持の範囲(在職中に知った情報をどこまで使えないか)
  • 会社の資産・情報を使わないこと(設備、アカウント、データ、顧客名簿、資料)
  • 勤務時間と会社の場所では手をつけないこと

このうち、線引きで迷いにくいのは最後の2つです。勤務先の設備・アカウント・データ・顧客名簿は、1件も自分の側に移さない。迷ったら移さない、で統一しておくと、あとで説明のしようがある状態を保てます。名簿や取引先リストのように「頭に入っているもの」も、そのまま営業に使えば同じ問題になります。

なお、規定の解釈や競業避止の有効性は、勤務先ごとの規程と個別の事情で結論が変わります。この記事は一般的な整理であり、労務・法務の判断は必ず勤務先の規程を確認したうえで、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談してください。ネット上の一般論だけで「大丈夫そう」と判断しないほうが安全です。

平日と休日は、役割を分けて使う

平日と休日を同じ使い方にすると、どちらも中途半端になりがちです。役割を分けます。

平日の役割は、進めることではなく止めないことです。30分から60分で終わる作業だけを置きます。人に連絡する、聞いた話をメモに落とす、次に会う相手を決める、次の休日にやることを1行で書いておく。平日は判断が鈍りやすい時間帯なので、判断が要らない作業を寄せるとうまく回ります。

休日の役割は、まとまった塊をひとつ進めることです。3〜4時間の枠をひとつ取り、その日の目的を1つに絞ります。「調べる」「作る」「会う」を同じ日に混ぜると、たいてい調べるだけで終わります。休日は、その日のうちに人に見せられるものが1つ残る使い方にします。画面1枚でも、説明の文章1本でも構いません。

作る前に人に会うほうが、限られた時間では効く

両立中の人ほど、作ることから始めがちです。作業は一人で完結し、進んでいる感覚も得やすいからです。ただ、作る作業は時間をいくらでも吸い込むのに対して、聞きに行く作業は短い時間で仮説を動かせます。時間が限られているときほど、順番は「会う」が先になります。

理由は3つあります。1つ目は、外れている前提を早く見つけられること。作ってから外れに気づくと、かけた時間がそのまま戻ってきません。2つ目は、話した相手が最初の顧客やテスターになりやすいこと。3つ目は、会う予定は日時が決まるので、準備が先に進むことです。締切のない作業は後ろにずれ続けますが、約束のある予定はずれません。

会うときに聞くことは、感想ではなく事実に寄せます。いま何で困っているか、いまはどうやって済ませているか、直近でお金や時間をどこに使ったか。「あったら使いますか」ではなく「いまは何を使っていますか」と聞くと、答えが推測ではなく実績になります。作る段階に進んだあと何を測るかは、個人開発のMVPの作り方の記事に整理しています。

短い時間で、情報と人に会う手段の例

平日昼のランチ会は1回60〜90分(2026年9月4日・計7名)。休日の枠を作る
平日昼のランチ会は1回60〜90分(2026年9月4日・計7名)。休日の枠を作る時間に残せる。(開催レポートより)

両立中は、まとまった時間を取りにくいぶん、1回で複数の目的が済む場を選ぶと効率がよくなります。ハコブネで開いている場を例として挙げます。

  • 1DAY新規事業立ち上げイベント:会員は参加費無料、一般は3,000円。1日で事業の立ち上げを進める回で、次回は2026年9月19日と10月18日です。
  • ランチ会:月1〜2回、1回60〜90分。少人数で話す会です。2026年7月15日は6名、2026年9月4日は7名が参加し、9月の回では7名のうち2名がメンバー以外(事業開発が本職の人と、社内新規事業の担当者)でした。

こうした場の使いどころは、休日1日を使う回と、1時間程度で済む回を組み合わせられることです。平日の昼に60〜90分の会に出れば、休日の枠は作る時間に残せます。また、会社の外に「進み具合を話す相手」がいる状態は、一人で進めるより計画が止まりにくくなります。

辞めるタイミングは、売上の大きさではなく継続性で見る

「いくら稼げたら辞められますか」という問いは、金額だけでは答えが出ません。同じ100万円でも、一度きりの100万円と、同じ売り方で毎月続いている20万円では意味が違います。辞めどきは売上の大きさではなく、売上の続きやすさで見ます。

見るのは次のような点です。

  • 同じ売り方で、2回以上繰り返し売れたか(1回目はたまたま売れることがある)
  • 買い手が入れ替わっても売れたか(知人だけで成立していないか)
  • 自分の時間あたりの粗利が、給与に対してどのくらいか
  • 数ヶ月ぶんの生活費と、事業側の当面の支出の備えがあるか
  • 会社員のままでも進められることが、まだ残っていないか

最後の点は見落とされがちです。辞めないと進まないことと、辞めなくても進むことを分けると、辞める判断を後ろにずらせる場合があります。たとえばApoLink(UPSTA Japan)は、日程調整と決済が一体になったビジネスマッチングのサービスで、テストマーケでマッチング機能の反応がよかったため、開発の途中で作る順番を組み替えて予定どおりリリースしました。開発は2ヶ月半、リリースから1ヶ月半で会員200人弱という進み方です。作る順番を入れ替える判断は、辞める前でもできることのひとつです。

一方で、時間が足りないせいで機会を逃し続けているなら、それは辞める理由になり得ます。どちらであれ、決めるのは金額ではなく「何が確かめられたら次に進むか」です。

よくある詰まりどころ

両立で止まりやすい場所は、だいたい次の3つです。

1つ目は、準備の範囲が広がりすぎることです。事業計画、ロゴ、ホームページ、名刺、会社の形態と、やることを増やすと着手が遠のきます。最初に要るのは、売るものが決まっていることと、話を聞ける相手がいることで、それ以外は後ろに送れます。

2つ目は、平日の疲れを前提に入れていないことです。平日夜に3時間の作業を置いた計画は、続かないことが多いです。続かないと計画そのものを疑い始め、やめる方向に傾きます。

3つ目は、誰にも進捗を話していないことです。一人で進めていると、止まっていることに気づくのが遅れます。月に1回でも人に話す場があると、止まっている期間が短くなります。

よくある質問5選

質問1会社に伝えずに準備を進めても問題ありませんか

就業規則や副業規定の内容によって結論が変わるため、一般論では答えが出ません。まず勤務先の規程を確認し、判断に迷う部分は社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談してください。少なくとも、勤務時間中に手をつけない、会社の設備・アカウント・情報を使わない、という線は先に引いておくと整理しやすくなります。

質問2週にどのくらいの時間が確保できれば始められますか

必要な時間は事業の内容によって変わるため、一律の目安は置けません。大事なのは時間の長さより、同じ曜日・同じ時間帯に固定できるかどうかです。短くても固定された枠のほうが、長いが不定期な枠より進みます。

質問3平日はどうしても時間が取れません

平日は進める時間ではなく、止めないための時間として使う方法があります。連絡する、メモを残す、次の予定を入れるといった、判断の要らない作業だけを置きます。まとまった作業は休日の枠に寄せます。

質問4まず作るべきか、まず人に会うべきか迷います

時間が限られているなら、会うほうが先に効くことが多いです。作る作業は時間を無制限に使えてしまい、外れていた場合の手戻りも大きくなります。会って聞くのは短時間で終わり、そのまま最初のテスターにつながることもあります。

質問5いつ会社を辞めればよいか判断できません

金額の大きさより、同じ売り方で繰り返し売れているか、買い手が入れ替わっても売れるかを見ます。あわせて、数ヶ月ぶんの生活費の備えと、辞めなくても進められることが残っていないかを確認します。辞めることを目的にせず、次に確かめたいことが何かで決めるほうが判断が安定します。

この記事について

池田 龍一

執筆:ハコブネ編集部 / 監修:池田 龍一

株式会社Walkers 取締役

池田は、ITとノーコードの事業開発・教育事業の立ち上げを経て2021年にWalkersを共同創業。100件以上のシステム開発に携わり、要件がまだ固まっていない案件や、他社から引き継いだ開発の立て直しを担当しています。

株式会社Walkersは、AI駆動開発・ノーコード開発のシステム開発会社です。累計開発実績300件、200社以上の支援、自社メディアの累計100万PV。受託開発と並行して、自社でも複数の新規事業を立ち上げています。

最終更新:2026年9月16日

作る前の「何を確かめるか」を、人と決める

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